ステレオ写真初心者による、ステレオ写真初心者のための

ステレオ写真用語解説


2002.08.18. 創案(おおげさ)、2002.09.01 掲載

5P-フォーマットkeystoningRBTステレオアナグリフ(方式)カニッツァの遮蔽交差法撮影基線三次元錯視視野闘争水準器ステレオアダプター:スチルカメラ用ステレオアダプター:ビデオカメラ用ステレオウィンドウスプートニクハイーパーステレオビューマスターフェドステレオプルフリッヒ(方式) 平行法叉割りヨーロッパサイズ裸眼立体視リアリスト(方式)レンティキュラー(方式)


  • 5P-フォーマット

    リアリスト・フォーマットのこと。35mmフィルムの送りのピッチ数から命名された呼び方。

  • keystoning

    直訳すると「かなめ石効果」とでも呼ぶことになりましょうか。カメラのレンズを斜めに構えると、四角形の被写体が台形に写る現象を言います。私は「台形変形」と訳すのがいいかなと思います(すでに確立した邦訳があるかも知れません)。
    ステレオ写真を撮影する際、被写体が中央に写るように左右のレンズを内側に向けると、この現象が生じます。左右のレンズは平行に配置するのが原則です。
    ステレオアダプターのうちで、平行法の写真ができるしかけのものは左右の光軸が交差していますから、このkeystoningが避けられません。

  • RBTステレオ

    2台の一眼レフカメラを手作りで合体させてステレオにしたものを販売している会社(リンク)、あるいはその製品。しかし、その社員はドイツ・フィルの演奏者(リンク)であったりする、という話です。私も欲しいのはやまやまなれど、お値段(リンク)が・・・。

  • アナグリフ(方式)

    左に赤のフィルター、右に青のフィルターが付いたメガネで見る方式。つまり、プリント時には青で左の写真を、赤で右の写真を印刷するわけです。あ、最近はカラーアナグリフと言うのがありましたっけ。でも、まあそんなもんです。レンズ色の左右の配置は世界統一です。

  • カニッツァの遮蔽

    え〜〜、今までこの項目は「カノッサの遮蔽」としてました。なんとサーチエンジンにも登録されてしまいましたが、どうやらこれは「カニッツァ・・」が正しく、この2年余の間私は世間に恥を晒していた様です。ま、インターネットの情報はこんなもん・・などと開き直ってはいけませんね。もしもこれが原因で試験を落とした、というような方がありましたら、ご容赦下さい。2005.4.24.

    ステレオ視した場合、前に見える物を遮へい物とみなし後ろに見えるものを背景とみなしてしまう現象を言います。同じ図柄を見ても交差法と平行法で、見えるものが違ってくる可能性があります。ま、実写の写真では普通はこの現象は生じないでしょうが。

  • 交差法

    左側に右の写真を、右側に左用の写真置いて、視線を交差させて見る方法。裸眼ステレオ視の際には、比較的大きな写真が利用できるという利点があります。ただし、平行法よりも小さく感じるようです。

  • 撮影基線

    ステレオ写真を撮影するときの左右のレンズの間隔のこと。被写体までの距離の1/30から1/50が良いと書かれていますが、どんな根拠があるのか私は知りません。実際にステレオスナップ写真を撮るときに、被写体の距離を測ってその度に撮影基線を変えるなんてことは普通はしないですね。遠くのものは遠く見えるほうがむしろ自然だと言えますし。ただし、ハイーパーステレオやマクロステレオの撮影時には撮影基線は変更しないといけません。

  • 三次元錯視

    ステレオ視することで、見えないはずの輪郭が見えているように脳が感じる現象。論より証拠。「主観的輪郭」と称せられるものの一種(たぶん)

  • 視差

    両眼で見た時の左右の画像の違いのこと。ステレオ視する際に立体感を得るのはこれが一番重要、ということになってます。さて、書物によりこの「視差」の意味は微妙に異なります。ある本では「輻輳角」とほぼ同じ意味で書かれています、私もそうじゃないかと思ってまして、その角度を決める眼筋の微妙な緊張の差が脳に認知されるのだろうと考えています。それとも、画像パターンの違いが認識されるのでしょうか・・・うーむ、このへんの解説は初心者には荷が重すぎるところですな。

  • 視野闘争

    左右の目で見える物が大きく違うと、いわゆる「チラチラ」した見え方になりますね、わずらわしいようですけど、これで輝きを認識したり、ほかのいろいろな事を認識したりするのです。

  • 水準器

    または、水平面
    ステレオ写真を撮影する時には、カメラを水平に保つことが非常に重要です。斜めに写った写真を、後で水平にトリミングした場合、前後の被写体に上下の高さの違いができるため、見にくい写真になります。テキスト本によると、10度程度の角度以内なら許せる、と書いてあるものがありました。しかし、できるだけ水平に保つに超したことはありません。ステレオカメラの中には、水準器を装備しているものもあります。

  • ステレオアダプター:スチルカメラ用

    「写るんです」用のアダプターはもう売ってません。ペンタックスのアダプターも製造中止ですが、時々オークションに出てますね。これ以外にも、私は見たことありませんが、ライツとかニコンのアダプターもあるそうです。目が飛び出るほどの値段が付けられているとか。

  • ステレオアダプター:ビデオカメラ用

    インターレース方式(テレビの走査線が半分ずつ交互に写る)を利用して、交互に右と左の画像を送り、液晶シャッターで左右の視界を交互にさえぎってステレオで見えるようにするアダプターが販売されてます。

  • ステレオウィンドウ

    ステレオ写真を見る時の「枠」に相当するものです。左右の写真のサイズを同じにしないと、この「枠」は不安定になります。通常はこの「枠」よりも奥(遠く)に見えるように設定します。中央のボールが飛び出しているような設定なら素直に見えますが、写真の両端が「枠」よりも前に見えると、不安定なステレオ写真になり、外国のコンペではそれだけで選考対象外になるとか。

  • スプートニク

    ここで解説するのは第一号の人工衛星(リンク)の話ではありません(^.^;)。旧ソ連でつくられたカメラ。6x6cmの大型サイズのステレオ写真を撮影できる量産型カメラとして今でもオークションなどで見受けられます。光線漏れがしばしばおこるらしくて、その改修法を掲載したホームページもあります。

  • ハイーパーステレオ

    撮影基線が長い、つまり左右のレンズ間距離が長いステレオ写真のこと。奥行き感が強調されます。遠くの景色をステレオ写真で撮るときはこの方法が有利ですが、近くの物をこの方法で撮影すると見づらいステレオ写真になります。

  • ビューマスター

    ステレオ写真のフォーマットの一つ。今でもリールが販売されています。専用のカメラもありますが、こんな方法でもビューマスターサイズの写真が撮れます。

  • フェドステレオ

    量産されたステレオカメラは大部分が1950年代に販売されたもので、これらには露出計が内蔵されておりません。しかし、旧ソ連で設計されたフェドステレオは自動露出のステレオカメラとして有名です。サイズはヨーロッパサイズ。今でもウクライナで製造されているとかいないとか・・・旧ソ連はステレオ写真方面でいろいろ面白い器機を送り出してます。スプートニクなど。

  • プルフリッヒ(方式)

    暗い方の画像は少し遅れて脳に認識される事を利用する方法。片方に「サングラス」のようなものをかけて左右に流れる画像を見ると、立体的に見えるわけです。(逆にかけるとアウト(^.^;)

  • 平行法

    左側に左の写真を、右側に右用の写真置いて、視線を交差させずに(遠くを見る視線で)見る方法。裸眼ステレオ視の際には、目の間隔より長い写真はみづらいため、あまり大きい写真では出来ません。もっとも訓練すると目の間隔より長い写真でも平行法で見ることができるようになります。これを「叉割り」と言うそうです・・・ちょっとお下品。

  • 叉割り

    日常生活では、両眼の視線が前方で広がる事はあり得ません。しかし両眼の距離よりも幅の広い写真を平行法で見ようとすると、この非生理的な状態にならざるを得ないのですね。訓練するとこれが可能です、もちろん限度はありますが。

  • ヨーロッパサイズ

    画面の大きさは24mmx30mm、リアリストサイズよりちょっと大きめ。60mm間隔のレンズで2組撮影した後3コマ分を送る、という方法で撮影します。リアリストフォーマットのように最初と最後に1枚分の空白ができる事はありません。リアリストが世界的に普及したため、この方式は非常にマイナーではあります。かのフェドステレオはヨーロッパサイズです。

  • 裸眼立体視

    道具を使わずに、2枚のステレオ写真を並べたものを見る方法。平行法交差法があります。どちらが簡単にできるかは、個人によって違うようです。どうしても裸眼立体視が出来ない人もあると言われていますが、大学の地形学講座ではこれが必須の技術として教育されるそうですから、練習次第かも。

  • リアリスト(方式)

    画面の大きさは24x23mm、ユニークなフィルム送り方式をとります。1950年代に開発されたこの方式が今でもステレオ写真の主流になっているようです。

  • レンティキュラー(方式)

    かまぼこ型の細長いレンズが縦に並んでいて、見る角度によって右目と左目に入る画像が異なるように設定され、立体画像が見えるというもの。昔ダッコちゃん(リンク)の眼が見る方向によってウィンクする、あのシカケです(こりゃ歳がばれるな、え、そんなもの古すぎて聞いた事がない?失礼しました)


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