真説、ウサギとカメ





2020.03.02.




第1版

 3月1日
 ウサギさんとカメさんのかけっこが開催された。
 10時に両者はスタートした。
 10時20分、ウサギさんは、向こうの山の麓に到着した。

第2版

3月1日
 ウサギさんとカメさんのかけっこが開催された。
 10時に両者はスタートした。
 10時20分、ウサギさんは、向こうの山の麓に到着した。

 ウサギさんとカメさんのかけっこが開催された。
 10時に両者はスタートした。
 17時30分、カメさんは、向こうの山の麓に到着した。

 到着地点での記録係は、はずみでウサギさんに1位の旗を渡してしまったのであって、どうしてそのような事をしたのか分からない、覚えていない、と言っている。

第3版

3月1日
 カメ某とウサギ某のかけっこが開催された。
 カメ某が勝った。

 議員団からの請求があった時点で、かけっこの記録はシュレッダーにかけて破棄されており、疑問にお答えする事は出来ない。記録が他の場所に残っているかどうかの再調査はしない。
 「ウサギに勝ったカメ」の霊験あらたかと称して、スピリチュアル壺を高齢者に高額で売りつけているカメが居るらしいが、このカメが、かけっこに参加したカメであるかどうかは、記録が無いのでお答えのしようがない。

第4版

後から見つかったと称して提出された書類
記載時期は不明

 カメ某とウサギ某のかけっこが開催された。
 ウサギ某は自分の能力に慢心し、かけっこの途中で昼寝をしたため、カメ某に追い越されて負けた。

 ウサギ某が、記録改ざん、記録ねつ造、および名誉棄損でかけっこ開催者を訴えたらしいが、検察はその訴えを取り上げることは無かった。定年延長で新たに検察庁長官に就任した某氏がその判断にかかわったと一部の者が主張しているが、当局は否定している。なお、個人情報保護の観点から、カメ某、ウサギ某、および検察庁長官某の氏名は公表できない。検察庁長官といえども例外は適用されないと閣議決定されたものである。






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